佐賀新聞紙面特集

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第113回 企業の環境活動(2015年9月30日掲載)

●●広がる わたしたちのエコ活動●● vol.5

 地球温暖化や生態系の保護、ゴミの排出削減など、環境問題を解決するためには、継続した取り組みが必要です。環境保全活動の事例を通年でお伝えしてきた「エコライフ・エコライブさが」は、10年目を迎えました。節目となる今回のシリーズでは、これまで本企画で取り上げてきた身近なエコ活動、行政や企業の動きを中心に再びスポットをあて、地道な活動の広がりや周囲の人たちの意識の高まりを紹介します。

●●●ボタ山 豊かな緑に●●●/●●●地域住民と協力して植樹●●●

 

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炭鉱くずの集積場から“緑の山”に生まれ変わりつつあるボタ山=大町町

 大町町役場から車で5分。炭鉱くずの集積場で、炭鉱町の負の遺産とも呼ばれる標高200メートルの「ボタ山」が現れる。山には、青々としたシイの木やタブノキ、イロハモミジ、ヤマザクラなどの葉が心地よさそうに初秋の風に揺れていた。
 これらの樹木は2001年から、九州電力が創立50周年を記念して取り組んだ植樹事業「九州ふるさとの森づくり」の一環として、同社佐賀支社が大町町とともに、植樹したものだ。


●●3000人で3万6000本植樹●●

 「近年、生活が豊かになるにつれ、温暖化をはじめとする地球環境問題が顕在化しています。このため、率先して環境に優しい取り組みをしていこうと植樹を始めました」と話すのは、佐賀支社企画・総務部の徳臣林太郎さん。森づくり事業は2001年から「10年間で100万本」を目標に展開した。
 植樹に適した地域を探していたところ、すでに町と県主導で緑化に取り組んでいた大町町のボタ山のほか、佐賀市富士町や多久市、白石町などの県内58カ所を選定した。 

 

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鎌を使い、下草を刈っていく参加者=2015年2月21日、大町町

 大町町では、植樹を2007、08、09、12年にそれぞれ1回ずつ実施した。4回の活動に九電社員や町職員、地域住民らのべ3,000人が参加、約3万6000本を植えた。
 大町町高砂町の区長藤瀬興治さん(73)は「地元のもんが何もせんわけにはいかん」と家族総出で毎回足を運んだ。
 最高気温34℃の真夏日や強風、みぞれまじりの悪天候の日もあったが、参加者は移植ごてで穴を掘って苗を植えて土を盛ったり、保水や雑草の繁茂を防ぐために稲わらを敷き詰めたりした。「ボタ山に木が育つか半信半疑だった」という藤瀬さんは2回目に第1回で植えた木が成長しているのを見て「『元気に育っとったなぁ』とうれしくなったね」と振り返る。

 

●●災害防止にも一役●●

 

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「ボタ山で木が育つなんて不思議でならなかった」と語る藤瀬興治さん

 ボタ山での植樹は緑化に加え、災害防止にも一役買っている。現在のボタ山を数メートル掘ると炭鉱くずが出てくる。表土が薄いため、植樹前は表面にひびが入ったり、土地が低い箇所では水漏れしたりしていたという。大町町農業委員会の古賀九州男さん(41)は「植えた木々が成長し、根を張ることで、CO2の吸収だけでなく、保水機能も期待できる」と力を込める。
 地域住民とタッグを組み、ボランティアや社会貢献として広がりをみせる企業の植樹活動。その規模は国内にとどまらない。1991年から続けるイオンは2013年度に累計1000万本を達成。イオン環境財団はマレーシアやベトナムなどで展開している。パナソニックは世界75カ国で実績がある。地球規模で広がりをみせる植樹。ただ、ひとりひとりが植える木一本一本、スコップでの一掘り一掘りが豊かな森づくりへとつながっている。
 ボタ山の木々は昨年度まで下草刈りをし、以降は生育状況を確認し手入れする。植樹に携わった藤瀬さんが小学生の頃は「石と土が崩れたような、何もない山」が緑豊かな山へと生まれ変わろうとしている。藤瀬さんは「人が集う場になるのが最大の希望。芝生を植えて子どもが駆け回ってくれたら」。有明海、遠くは島原半島や雲仙普賢岳を見渡せる”緑の山”を次代に引き継ぎたいと願っている。

●●●●プレイバック●●●●

●●●「密植・混在型」の植樹●●●

 

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 2007年9月30日付の紙面で紹介された、九電の植樹活動「九州ふるさとの森づくり」。九州全体では、2001年から14年かけて636カ所で117万本の植樹や下草を刈る育樹を行った。佐賀県内では大町町を含め、佐賀市や多久市などで、11年かけて13万5千本の植樹を実施した。同社社員をはじめ、住民らのべ1万7千人が緑化に携わった。
 大町町の活動では、地域で息づく樹木を育てて森をつくろうと、1千年以上前からこの地域にあったとみられる樹木を選んだ。植林方法は、植物生態学者の宮脇昭さんが提唱する密植・混在型の植林。密植・混在した木は互いに競い合って成長するため、樹勢が強く、自然淘汰されながら森林になる。3年ほどたつと葉が茂り、地面への光が遮られるため、雑草が育ちにくく、維持管理のコストが抑えられるという。

 

【MEMO】 佐賀県、「こだまの森林づくり」展開

 県内でも森づくり活動は広がりを見せている。佐賀県は2004年度から広葉樹を植樹したり、間伐などの森林整備をする「こだまの森林(もり)づくり」を始めた。山から川、海までの流域全体の保全を目的とした事業で、森林所有者をはじめ、ボランティアや企業などの協力で森林保全に取り組んでいる。
 14年度までにクヌギやヤマザクラなど約130万本を植樹。間伐を含めた森林整備面積は4万2千ヘクタールに上る。森づくり活動に関心がある企業が市町と協定を結び、社員や家族が植樹や下草刈りなどを行っている。

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