佐賀新聞紙面特集

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第114回 アクアソーシャルフェス(2015年10月28日掲載)

 

●●広がる わたしたちのエコ活動●● vol.6

 地球温暖化や生態系の保護、ゴミの排出削減など、環境問題を解決するためには、継続した取り組みが必要です。環境保全活動の事例を通年でお伝えしてきた「エコライフ・エコライブさが」は、10年目を迎えました。節目となる今回のシリーズでは、これまで本企画で取り上げてきた身近なエコ活動、行政や企業の動きを中心に再びスポットをあて、地道な活動の広がりや周囲の人たちの意識の高まりを紹介します。

●●●市民の手で水環境守る●●●/●●●環境教育にも一役●●●

 

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鎌で上手に稲を刈り、歓声を上げる参加者の子ども=9月26日、唐津市相知町の「蕨野の棚田

 稲が実り、階段に黄金色のじゅうたんを敷いたような景色が広がっていた唐津市相知町の「蕨野の棚田」。9月26日、子どもから年配まで100人が鎌を手に、黙々と稲刈りに汗を流した。4年目を迎えた、水辺の環境を守るための活動を全国で展開する「AQUA SOCIAL FES!!」(アクアソーシャルフェス)佐賀県プロジェクトの一環だ。
 本年度は、中山間地での棚田の営農を通し、水の大切さや地域の現状を学んでもらおうと、5月に耕作放棄地での下草刈り、9月は稲刈り・掛け干しとヤマザクラの植樹に取り組んだ。
 地元農家の協力を受け、掛け干しでは、棚田近くから切り出した竹で”物干し”を組み立て、刈り取ったばかりの稲を天日干しに。佐賀大学農学部の五十嵐勉教授から、山間部で問題となっている侵入竹の拡大について講義を受けた後、ヤマザクラの苗50本を丁寧に植えた。
 水、山の恵みも味わった。昼の休憩では、棚田米のおにぎりと蕨野地区で作られた野菜を使った豚汁を堪能。家族4人で参加した、小学2年の松本悠汰君(7)は「(鎌で稲を)切ったとき、気持ちよかった。おにぎりおいしくて、3個食べた」と笑顔を見せた。
 

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石積みが美しい「蕨野の棚田」。第2回の活動時は、黄金色の稲穂が風に揺れていた=唐津市相知町

●●参加者4万人を突破●●

 アクアソーシャルフェスは、トヨタ自動車が2011年末のハイブリッド車「アクア」の発売に合わせ、全国の地方新聞社などと各地域の水辺の環境を守ろうと開始したプロジェクト。これまでに全国で合計約400回開催されており、参加者総数は4万人を突破した。
 各都道府県で地域色を出した活動を展開。本年度は、大分県ではアカウミガメが産卵・ふ化しやすいようにと、磯崎海岸(大分市)でゴミを拾ったり、防砂垣を修復した。お遍路で親しまれている四国・徳島県では、参加者が遍路道の周辺美化を実施。長崎県の活動は佐賀同様、「大中尾棚田」(長崎市)で田植えと稲刈りを行った。
 佐賀県では初回の2012年度、佐賀城南堀でハス再生に向けた外来種のカメや魚の駆除にあたった。13年度は佐賀市東与賀町の有明海沿岸で清掃活動とシチメンソウの種採取・種まき、昨年度は同町水田での外来種駆除と田植え、清掃活動を行い、環境保全の輪を広げてきた。

●●参加者との交流も●●

 

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本年度第1回目の活動では、耕作放棄地で下草刈りを実施。軽トラック1台分の大きさの草が積み上がった=5月16日、唐津市相知町

 本年度、ソーシャルフェスを共催した、NPO法人「蕨野の棚田を守ろう会」の理事長川原増雄さん(68)は「参加者が(泥の)汚れも気にせず田んぼに入り、刈る稲穂の長さもそろっていて皆さん丁寧な”仕事”でした」。顔をほころばせる。
 活動が棚田米のPRにつながり、イベント終了直後に複数の参加グループから「新米ができたら送ってください」と声をかけられた。何より参加者との交流が心に残ったという。実家が農家よいう同年代の男性参加者とは、稲穂の束の結び方やかけ方で話が合い、「『昔はこげんしよったですよね』って話が弾んだのが、うれしかです」と振り返った。
 江戸期から開墾が始まり、石積みが特徴的な「蕨野の棚田」。耕作面積36ヘクタール、約700枚だが、農業の担い手不足から耕作放棄地が徐々に増えている。川原さんは「来年以降も続けていきたいですね」。参加者の心象風景に蕨野が刻まれ、自然を大切にする心が育まれることを願っている。

●●●●プレイバック●●●●

●●●佐賀城南堀 ハス再生●●●

 

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 2012年5月31日付の紙面では、アクアソーシャルフェス初年度の活動として、佐賀城南堀でのハス再生に向けた取り組みを掲載した。5月13日、地区住民や行政、環境団体関係者などでつくる「ハス再生実行委員会」メンバーや市民ら76人が外来種のカメや魚を捕獲した。
 この日は、前日に仕掛けたかにカゴ40個と、サビキ針を連結したはえ縄を引き上げ、北米原産のミシシッピアカミミガメ21匹とブルーギル7匹を捕らえた。参加者は「外来種が生態系に悪影響を与えることを学んだ」「ハスが戻った姿をまた見てみたい」などと感想を語った。
 08年に全滅していたハス。佐賀土木事務所などの調査で、原因はカメによる食害の疑いが濃厚に。実行委は10年、よどんでいた堀を半世紀ぶりに干し上げ、泥さらいして水を入れ替えた。カメの侵入を防ぐ囲いも設置するなどしてハスの再生に成功している。

 

【MEMO】 全国の参加者平均年齢 27.6歳

 4年目を迎えたアクアソーシャルフェスは本年度全47都道府県で101のプログラムを予定し、5月2日からスタート。8月1日までに6,041人が参加し、累計参加者が4万人を突破した。プログラムの開催回数は397回に上った。内容は川、湖、海など水辺の清掃や外来種の駆除、植樹、棚田や里山の再生など多岐にわたる。2014年の調査では、全国の参加者の平均年齢は27.6歳と若く、全体の6割以上を30代以下の人が占めているという。ただ、今年9月の佐賀でのプログラムには0~72歳と幅広い年代層が参加した。

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