佐賀新聞紙面特集

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第121回 おもちゃ病院(2016年5月31日掲載)

●●芽生えたエコの輪をもっと大きく●● vol.1

 日々の暮らしの中で環境を守ることは、私たちの役割でもあります。地球規模での保全も、まずは一人一人の行動から始まります。今回で11年目を迎える「エコライフ・エコライブさが」。昨年度に続き、これまで取り上げてきた活動を振り返り、意識の高まりを紹介し、さらにその輪を広げていきます。

●●●ものを大切にする心養う●●●/●●●エコで子どもを笑顔に●●●

 

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子どもの前でおもちゃを修理する「ドクター」=佐賀市高木瀬町のエコプラザ

 緑色のエプロンを着けた「ドクター」たち が、工具を手に、目を凝らしながら、持ち込まれたおもちゃと向き合っている。毎月第3日曜日のエコプラザ(佐賀市高木瀬町)。おもちゃを修理するメンバー(通称「ドクター」)たちが、おもちゃ再生を通して、エコな暮らし、環境を守る大切さを訴えかけている。
 メンバー7人と受付係の「ナース」1人を中心に活動する「おもちゃ病院SAGA」。2009年に開設し、今年8年目を迎える。3月までの7年間で173回「開院」し、725件を「診察」してきた。612件が「治癒」したといい、「治癒率」は84%を誇る。
 代表の松永好則さん(64)は建設関係の仕事に従事するなど、60~70歳代のメンバーたちは決して専門家ではない。「昔買ってもらったおもちゃを分解し、壊してしかられた経験があるおじいさんの集まり」と苦笑いしながらも、「子どもとお父さん・お母さんが一緒に修理することも望んでいる」と話す。メンバーはほぼ手弁当で活動しているが、その場で治ったおもちゃを返した瞬間の子どもたちの笑顔と、彼らに「ものを大事にしよう」という意識が芽生えることが、最高の報酬になっているようだ。
 

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会場ではドクターたちが連携しながら壊れたおもちゃと向き合う

●●場合によっては“入院”も●●

 5月の開院日。オープン直後から予約の親子連れが訪れた。松永さんが受け持ったのは、全長50センチを超えるショベルカーのおもちゃ。アーム部分が稼働しなくなったとのこと。2年前の誕生日プレゼントにもらったという佐賀市の高取旬くん(6)は心配そうな表情を見せていた。
 松永さんは早速アーム部分を分解し、電子回路の配線部分を確かめた。近年のおもちゃは、本体自体を分解するのもひと苦労といい、電子回路なども複雑になっている。それでも細かい手作業で分解し、電気が通っているか、モーターが回っているかなどの作動状況を確かめていた。
しかし時間が足りず「手術」終了とはいかず、「入院」することに。高取くんは「(本体の)中には線がいっぱいある」と驚きながらも「早く治してね」と、もとの状態での「再会」を心待ちにしていた。

●●「子どもたちの背中見て」●●

 

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エコプラザでは毎月第3日曜日に開業している

 エコプラザでの「開院」時間は2時間。1日6件に限定しているため、毎回予約ですぐ埋まっている。今回のショベルカーのように時間内に終わらないこともある。その際は、各メンバーが宿題として自宅に持ち帰ることも。14年7月からは、佐賀市呉服元町の「わいわいコンテナ2」でも「開業」しており、口コミなどで忙しさは増した。おもちゃ病院の存在意義は、年々高くなっているようだ。
 診察料は1件100円で、部品交換が必要な場合は実費がかかる。本来の目的が、壊れて捨てられるおもちゃを減らすために取り組んでいるため、経費の負担は最小限にとどめている。一方、ものを大切にする心を育成するため、子どもの同伴を求め、診察開始から原因を判明するまで「問診」し、一緒に治していくことが理想だ。
 「壊れていてもあきらめないで。これからも子どもたちの目の前で壊れたおもちゃを治せるようにしていく」と松永さん。「簡単にものを捨てない」というエコな考えを子どもたちに直伝していくつもりだ。

 

●●●●プレイバック●●●●

●●●長持ちのコツも紹介定●●●

 

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  2010年9月28日付の紙面で、ジャスコ佐賀大和店(現イオンショッピングセンター大和)で月1回開いていた「おもちゃ病院」を取り上げた。キーボードのおもちゃなどを持ち込んだ母親は「壊れても修理すれば何年も使うことができる。子どもたちも兄から妹たちへ大切に引き継いでいます」と喜び、メンバーも「うちにやってくるということは、使い捨ての意識が薄れつつあるということ」とものを大事にするエコの原点に手応えを感じていた。
 また「電池の入っているおもちゃは、スイッチを切り、電池を外す」などと、長持ちのコツも紹介した。今回取材した「ドクター」の松永好則さんも「故障の原因で意外と多いのが電池漏れ。電池箱の端子がぼろぼろで被膜ができている場合でも、布でひと拭きすると復活する時がある」とアドバイス。おもちゃ病院に持ち込む前に、試してみるのもいいかもしれない。

 

【MEMO】 全国に500カ所以上

  日本おもちゃ病院協会(本部・東京)によると、全国には500カ所以上のおもちゃ病院がある。同協会では、定期的にドクター養成講座も開催し、技術向上に努めている。佐賀県内では、エコプラザ(電話0952-33-0520、毎月第3日曜)と「わいわいコンテナ2」(同、毎月第1日曜)の「おもちゃ病院SAGA」の2カ所のほか、「おもちゃ病院とす」(電話0942-81-1815、毎月第4日曜)、「おもちゃ病院基山」(電話0942-92-3178、3~12月の3カ月おきの第2日曜)の計4カ所で開設。新たな「ドクター」も随時募集している。

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