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第122回 アクアソーシャルフェス2016(2016年6月30日掲載)

●●芽生えたエコの輪をもっと大きく●● vol.2

 日々の暮らしの中で環境を守ることは、私たちの役割でもあります。地球規模での保全も、まずは一人一人の行動から始まります。今回で11年目を迎える「エコライフ・エコライブさが」。昨年度に続き、これまで取り上げてきた活動を振り返り、意識の高まりを紹介し、さらにその輪を広げていきます。

●●●棚田保全の大切さ体感●●●/●●●自然学べる「教材」豊富●●●

 

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苗を手植えする参加者たち=唐津市相知町蕨野の棚田

 梅雨空の下、青いビブスを着けた参加者たちが、急こう配の坂道を上って目的地の棚田を目指した。息を切らしながら、歩き始めて約30分。尾根を越えてあらわれた風景の先には、代かきを終え田植えを待つばかりの田んぼが広がっていた。6月5日、唐津市相知町蕨野地区。水辺の環境を守る全国プロジェクト「AQUA SOCIAL FES!!(アクアソーシャルフェス)2016」による田植えが始まった。
 「企業、大学、市民の支援の下、棚田が保全されることを願います」。参加者たちを前に、運営者を代表して佐賀大学農学部の五十嵐勉教授が呼びかけた。アクアソーシャルフェスは、トヨタ自動車と全国の地方新聞社が、地元の大学、NPOなどと連携して実施するイベント。みんなで自然を守ることが目的だ。
 田んぼでは4班に分かれ、1列に並んだ参加者たちを前に、五十嵐教授が「親指、中指、薬指で3本ずつ苗を取って。第1関節ぐらいまでしっかり植えて」とアドバイス。ピンと張った田植え綱に沿って、丁寧に植え込んでいた。約1時間半の作業。慣れない姿勢に時折腰に手を当てながら一面に苗を植えた。終了後は一様に満足そうな表情を見せていた。
 

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生物観察では佐賀大の学生が講師を務めた

●●生き物観察もできる環境●●

 棚田は環境学習にも豊富な「教材」がそろっている。今回の活動も田植えに加えて、生き物観察も企画した。佐賀大の講義の一環で参加した学生が、田植えと並行して水辺で集めた生物を水槽に入れていた。
 捕獲したのは、ホウネンエビ、サワガニ、トノサマガエル、アカハライモリ。カスミサンショウウオと、ヤマカガシは捕獲できなかったが、あらかじめ準備していたボードを使って、特徴などを説明した。
 「日本の棚田百選」でもある蕨野の棚田。今年は蕨野集落が、農業農村整備優良地区コンクール(全国土地改良事業団体連合会主催)で最高賞の農林水産大臣賞を受賞した。棚田の保全と耕作放棄地を減らす取り組みが評価されたものだ。水がきれいな土地だからこそ、多くの生き物が観察できる。参加者たちにとっても内容が充実したプログラムになっていた。

●●交流通じてエコ意識アップ●●

 

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山の斜面に沿って広がる棚田

 田植えの後には、地元住民が用意した棚田米のおにぎり、豚汁、漬け物が振る舞われた。標高350メートルの屋外で食べる昼ご飯は、どこか非日常的で参加者の心をつかんだ。盆に盛られたおにぎりにもついつい「あと1個」と手が伸びていた。輪になって、参加者同士の交流も進んだ。家族5人で参加した佐賀市の高橋浩一郎さん(45)は「昔の人がこれだけの棚田を築いたのはすごい。楽しんで体験できた。秋もぜひ参加したい」と話した。
 アクアソーシャルフェスは今回で5年目を迎えた。佐賀城南堀の外来種のカメや魚の駆除によるハスの再生(2012年)に始まり、東よか干潟での清掃活動とシチメンソウの種まき(13年)、佐賀平野の水田での外来種のジャンボタニシ駆除・田植えとシチメンソウ自生地の清掃活動(14年)、蕨野の棚田で春の田植え前の下草刈りと秋の稲刈り(15年)-。県内各地で活動を続けている。今回は過去最多の155人が参加。当初に比べ認知度が高まりつつある。
 次回は9月開催予定。黄金色に色づいた風景の中で、稲刈り、天日干し、焼きいも体験を行う。約100人から始まったアクアソーシャルフェスは、次回で参加者が延べ1000人を突破する見込み。企業・大学・市民が一体になったエコ活動は、確実にその輪を広げている。

 

●●●●プレイバック●●●●

●●●シチメンソウを守ろう●●●

 

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  2013年12月31日付の紙面で、アクアソーシャルフェスを紹介した。佐賀市東与賀町の干潟よか公園そばの海岸で、海の紅葉・シチメンソウを守るため、7月下旬には海岸清掃、12月上旬には種まきを行った。シチメンソウは干潟に生息するデリケートな植物で、海岸に流れ着くヨシの枝や人工ごみは、成長の妨げになる”敵”。同フェスで種まきをした参加者は「今日まいた種が来年の秋、色づいたところを想像するとわくわくする」と話していた。
 会場となったシチメンソウ生育地を含む「東よか干潟」は、2015年、国際的に重要な湿地の保全を目指すラムサール条約に登録された。地元住民らの長年にわたる熱心な保護活動が実を結んだ形で、同フェスも登録直前の時期に、干潟を守る取り組みに貢献ができたといえる。

 

【MEMO】 5年目迎えフェス定着

 2012年に始まったアクアソーシャルフェス。47都道府県で水辺を守るこの活動は、地域の特色を生かしたプログラムで、これまで445回開催し、4万5608人が参加した。5年目を迎えた今年は、福岡県では室見川(福岡市)の清掃活動と潮干狩り、鹿児島県では重富海岸(姶良市)での清掃活動と運動会など、各地で趣向を凝らして参加者に自然の大切さを体感してもらっている。佐賀県では次回は9月に開催予定。詳しくは特設サイト、http://aquafes.jp/ へ。

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