佐賀新聞紙面特集

トップ |佐賀新聞から
第125回 段ボールコンポスト(2016年9月30日掲載)

●●芽生えたエコの輪をもっと大きく●● vol.5

 日々の暮らしの中で環境を守ることは、私たちの役割でもあります。地球規模での保全も、まずは一人一人の行動から始まります。今回で11年目を迎える「エコライフ・エコライブさが」。昨年度に続き、これまで取り上げてきた活動を振り返り、意識の高まりを紹介し、さらにその輪を広げていきます。

●●●生ごみ処理し堆肥へ●●●/●●●お金かけずにカンタンに●●●

 

写真1(400x310)★エコライフ 2016月9月分 051 - コピー.JPG
段ボールの内部を掘り起こし、生ごみを入れる下田代さん=武雄市北方町の自宅

 残暑の日差しが照りつけた23日、武雄市北方町の下田代満さん(67)がいつものように、自宅庭にある段ボール箱のもとに向かった。かぶせていた布を外し、中に入った腐葉土(落ち葉)と米ぬかを慣れた手つきで掘り起こしていく。温度計で内部の温度をチェックし、使い込んだノートに記入。その後自宅から出た生ごみを埋め、手際よくかき混ぜながら、元の状態に戻していく-。箱の中で生ごみを発酵させて堆肥をつくる段ボールコンポストの作業の一連の流れだ。
 「ごみ回収の日まで保管する必要がなく、安価で堆肥がつくれるよ」。柔和な笑顔で下田代さんは説明する。もともと釣具店を経営した縁で、水環境を守るボランティア団体「森と海を結ぶ会」で活動を始めてから、しだいに食や農業問題、そして地球温暖化の対策としての生ごみ処理へと関心が広がった。
「生ごみを燃やすという無駄なことをしない」が原点。各自治体では多額の費用をかけてごみを処理している現状を憂い、「生ごみを家庭で処理できれば、その分浮いた税金は福祉、教育など、もっと違う使い道がでてくるはず」と強調する。
 7~8年前、「生ごみを堆肥にしてガーデニングや家庭菜園に使用すると、行政のごみ処理費用の軽減につながる」という趣旨の下田代さんの投稿が、佐賀新聞「ひろば」欄に立て続けに掲載された。読者から多くの反響を呼び、普及活動に力を入れるようになった。
 

写真2(300x199)★エコライフ1609(山内) 047.JPG
環境活動の一環で農作業グループと交流する下田代さん(右)=武雄市山内町

●●手軽さが注目を浴びる●●

 家庭でも簡単に始められるという段ボールコンポスト。主に準備するのは、腐葉土、米ぬか、ふた付きバケツ、軍手、熊手、温度計。作り方は段ボールの中に5キロの腐葉土と2キロの米ぬかを入れ、よくかき混ぜて、1~2日後に50度を超えれば、生ごみを分解できる状態に。生ごみは水を切り、米ぬかをまぶして箱の中心に埋め込み、まんべんなくかき混ぜていけば、約2カ月で堆肥が完成する。
 水分が蒸発し乾燥が進んだ場合は、少し湿る程度に水をかけることで放線菌が活性化し、消臭効果が増し、虫の発生も抑えられる。「人間は菌がいないと生きていけない。人間に有効な菌を増やすことの方がはるかに健康的」。菌への愛着を持ち、生ごみの堆肥化に力を注いでいる。

●●広がるネットワーク●●

 

写真3(250x★)★エコライフ(250x166) 2016月9月分 037.JPG
箱の内部が50度を超えると順調に発酵が進んでいる目安になる

 段ボールコンポストづくりを始めるようになって以降、環境をキーワードにした取り組みには率先して顔を出すようになった。ネットワークは広がり、9月最後の週末となった24日には、県内外の家庭菜園愛好家が集まる「オアシスの会」を主宰する専業農家の下平寅義さん(57)の畑へ。芋掘り体験会に参加し、取れたてのサツマイモをふかして、約10人の参加者と食卓を囲み交流を深めた。
 また、佐賀大学とのつながりも生まれ、毎年実演指導し、「下田代式」段ボールコンポストづくりを学生たちに伝授している。
 下田代さん宅で出る生ごみは年間約1トン。これを段ボールコンポストで処理して堆肥づくりに励むという地道な作業。段ボールコンポストと向き合い、きょうも下田代さんは、箱の中の腐葉土と米ぬかと生ごみをかき混ぜていく。

 

●●●●プレイバック●●●●

●●●手軽に安価で生ごみ堆肥化●●●

 

20081231紙面.jpg

 「段ボールコンポスト」を取り上げたのは2008年12月31日付。下田代さんが取り組み始めて5年ほど経ったころだった。10数人が参加した講習会は、佐賀新聞SNSコミュニティサイト「ひびの」がきっかけ。「ひびの」は06年10月に立ち上がったばかりで、当初から会員同士が盛んに情報交換をしていた時期。会場は下田代さんの自宅で、独自の方法で米ぬかと腐葉土を使う方法を編み出して、参加者に実演を交えてアドバイスした。
記事では、「落ち葉に付いた好気性(酸素を好む)の枯草菌が生ごみを分解するので、毎日かき混ぜて空気を入れることが大切」と力説。下田代さんの持論は8年近く経った今も変わらず、現在は、3ケースの段ボールコンポストを管理し、日々、堆肥づくりに取り組んでいる。

 

【MEMO】 10月2日に講習会

 下田代さんは10月2日、佐賀市のアバンセで段ボールコンポストづくりの講習会を開催する。アバンセ主催の「まなびぃフェスタ」の一環。合わせて、最近注目され、水質浄化作用があるとされる液体「マイエンザ(微生物活性酵素)」の作り方も紹介する。段ボールコンポストづくりは10時30分から(事前申し込み、参加無料)で、マイエンザづくりは11時30分から(事前申し込み、参加費300円)。下田代さんは「環境に優しいさまざまな取り組みを知ってもらう機会にしたい」と呼び掛けている。

 Copyright(C) Saga Shimbun Co.,Ltd            サイトポリシー   プライバシーポリシー   リンクポリシー