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第127回 かいろう基山(2016年11月30日掲載)

●●芽生えたエコの輪をもっと大きく●● vol.7

 日々の暮らしの中で環境を守ることは、私たちの役割でもあります。地球規模での保全も、まずは一人一人の行動から始まります。今回で11年目を迎える「エコライフ・エコライブさが」。昨年度に続き、これまで取り上げてきた活動を振り返り、意識の高まりを紹介し、さらにその輪を広げていきます。

●●●竹と“戦い”里山環境保全●●●/●●●県民巻き込むシニア世代●●●

 

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山肌を覆う竹を1本1本地道に伐採する「かいろう基山」メンバー=22日、三養基郡基山町園部

 三養基郡基山町、紅葉の名所・大興善寺から南へ約1~2キロの山林で、生い茂った竹林を10年以上にわたって整備し、森林環境を守ろうとしている団体がある。NPO法人「かいろう基山」。2004年に発足し、平均年齢70歳代のシニア世代が保全活動に奮闘している。
 暖かい陽気となった11月22日、60~80歳代のメンバー9人が竹林に足を踏み入れた。現場は急斜面で、20メートルを超えるモウソウ竹が乱立している状態。「竹の先が谷を向いているから、谷の方に倒して」「今から倒すよ」と互いに声を掛け合いながら、のこぎりで根元を切り、別のメンバーが離れた場所からロープで引っ張って次々と倒していた。倒れた竹は約2メートル間隔に切り、12月開催のミニ門松作り教室で使う分を林道に運び出していた。事務担当理事の松原幸孝さん(65)が「危険の連続」と話す伐採作業。3日前に降った雨の影響で斜面はぬかるみ気味だったが、メンバーは慣れた様子で作業に没頭していた。
 

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12、13日に開かれた「さが環境フェスティバル」でブースを出し、活動をアピールした=佐賀市の県森林公園

●●楽しむことベースに活動広げる●●

 団体名の「かいろう」は「快老、快労、快朗」の意味。「シニア世代も体を動かして世の中に役立つことを楽しもう」という願いを込めている。会員は61人で60歳以上が54人。知人に誘われてメンバーになって11年目の山口喜幸さん(84)=基山町=は「体が元気な限りは続けたい」と意欲を見せる。
 竹の生育を放っておくと、確実に森林を侵食する。竹が密集した場所は地面に日が射さなくなり、広葉樹や針葉樹が育たず、保水力も弱まる。松原さんは「伐採を始めたころは、林道を通っていても辺りは真っ暗だった」と振り返る。現在は視界が開けた場所も多くなり、成果は着々と表れている。
 “竹退治”は、息の長い活動になりそうだ。基山町の森林面積は841ヘクタールで、8割にあたる約650ヘクタールが人工林。その多くが荒廃しているという。作業日は年間約230日に上り、これまで年間約3000本ペースで約4.6ヘクタールを伐採してきたが、実はまだ一部にすぎない。松原さんは「私たちメンバーの力だけでは限界がある。もっと多くの人に参加してもらえるようにしなければ」と、竹切り体験、下草刈り体験、工作教室などを年数回企画し、広く協力を呼びかけている。
 「森づくりは人づくり」をモットーに、「育林市民力養成講座」を7年前に開講した。森を守るための知識と技術を身に付けてもらい、ボランティアリーダー38人、ボランティア66人の計104人を育成。今後は彼らの活躍が森林保全活動のかぎを握っている。

●●みんなで支える森づくり目指す●●

 

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足場が悪い険しい斜面で切り取った竹を運ぶ

 発足11年目となった昨年は、地道な活動が評価され、国土交通省の水資源功労者の団体表彰を受けた。農畜産家との連携もスタート。竹チップを使った堆肥づくりのため、今年6月に専用の作業小屋が完成。町内の農家に効果を試してもらっている。牛の寝床の敷料として使用すると脱臭効果があり、畜産農家からも上々の評価を得ている。竹のさらなる資源化が目指せるようになり、メンバーたちの励みになっている。
 PRにも力を注ぐ。12、13日に佐賀市で開催された「さが環境フェスティバル」に出展し、竹炭や、竹細工などを販売。子ども向けに竹トンボづくり教室も開き、森に興味を持ってもらうことを狙った。
 メンバーの高齢化という課題に直面しながらも、着実に活動の幅を広げている「かいろう基山」。竹との“戦い”はまだまだ続く。

 

●●●●プレイバック●●●●

●●●2009年11月29日付 森林環境税の財源生かす●●●

 

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 「かいろう基山」を紹介したのは、2009年11月29日付。前年の08年に佐賀県が森林環境税を導入。税額は個人500円、法人1000円~4万円。県民税に上乗せして課税した。森林を県民みんなで支え合い、広く負担してもらう狙いで始まった。当初は5年の適用期限だったが、13年以降、5年間延長することになった。社会的にも森林整備の必要性が認められている証拠ともいえる。
 「かいろう基山」は、森林環境税の財源でつくられた基金で行う「県民参加の森林づくり事業」に毎年採択されている。この貴重な活動資金は公金による補助だけに、メンバーたちは「山を守ろう」という使命感が強く、連日山に入り、急勾配の斜面での竹の伐採作業に力を注いでいる。

 

【MEMO】 九州環境市民フォーラムinさが

 「九州環境市民フォーラムinさが」(NPO法人九州環境サポートセンターなど主催)が12月10日(土)、11日(日)、佐賀市の佐賀商工ビル内の市民活動プラザで開かれる。環境活動に取り組む団体や、企業、行政、学生などが一堂に会して、講演や分科会などを通してネットワークをつくり、今後の活動に生かしていく。テーマは「つながりと協働で未来を創造しよう!」。県内では初開催で、かいろう基山は分科会の発表団体に選ばれ、「想いを凝縮したキャッチフレーズを作ろう」と題して、メンバー集めのコツなどを披露する。

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