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第131回 エヒメアヤメ保全活動(2017年3月28日掲載)

●●芽生えたエコの輪をもっと大きく●● vol.11

 日々の暮らしの中で環境を守ることは、私たちの役割でもあります。地球規模での保全も、まずは一人一人の行動から始まります。今回で11年目を迎える「エコライフ・エコライブさが」。昨年度に続き、これまで取り上げてきた活動を振り返り、意識の高まりを紹介し、さらにその輪を広げていきます。

●●●まつり準備 住民一丸で●●●/●●●自生地死守 行政に頼らず●●●

 

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エヒメアヤメの生育環境を整えるため、水路を補修する地元住民=2月26日、佐賀市久保泉町川久保

 日本列島が大陸と陸続きだった10数万年前に南下してきた「大陸系遺存植物」であるエヒメアヤメは、県内で唯一、佐賀市久保泉町川久保の帯隈山(おぶくまやま)のふもとの一角に自生している。地元住民による熱心な保全活動で大切に守られ、花が咲く春にはイベントを開催する。普段のどかな里山は、一年で最もにぎわう季節を迎えようとしている。
 一帯は近年、住民たちの努力により、愛好家に注目されるようになった。活動しているのは、「久保泉町天然記念物えひめあやめ自生南限地帯自然環境保全会」。同町の自治会協議会、社会福祉協議会、体育協会など20を超える団体がメンバーに名前を連ねる。自治会長の執行偉男(くしお)さん(73)は「毎年まつりを開けるようになり、町民の皆さんに感謝の気持ちでいっぱい」としみじみと語っていた。
 

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昨年のえひめあやめまつり会場で地元農産物を販売。来場者との交流も生まれた(久保泉公民館提供)

●●一般開放で知名度アップ●●

 草丈10センチ程度で、紫色のかれんな花を咲かせるエヒメアヤメ。1925(大正14)年に国の天然記念物に指定され、現在では久保泉町のほかに、広島県三原市、山口県の防府市と下関市、愛媛県松山市、宮崎県小林市の計6カ所が指定されている。
 しかし、放置していると草丈より高い雑草や小低木が繁ると風通しが悪くなって、日照時間が少なくなると、エヒメアヤメはたちまち姿を消してしまう。一時は指定解除の危機にも直面したが、戦後に地元の公民館に勤めていた古川文士さん(故人)が「エヒメアヤメを残したい」という思いで自生できる生育環境を整えた。その遺志が現在まで受け継がれ、住民が「まちの宝」として守り続けている。
 保存会の中心メンバーの一人、宮原功さん(81)は、だれよりも自生地に足を運び、草刈りや生育調査に取り組んできた。「専門家の先生から、『ここは知床や尾瀬にも匹敵する』と言われた時はうれしかったね」と胸を張り、「ここのエヒメアヤメの株は、他の自生地よりも大きい。活動も行政頼りにならず地元の人たちが多くかかわっている」と付け加えた。
 保存会の運営費は年間約60万円。その中には自治会費の中で集めた1戸あたり約400円も含まれる。まさに町全体で取り組み、1995年からはまちおこしの一環として「えひめあやめまつり」を始めた。普段立ち入れない自生地を一般開放したことで、徐々に知名度を高めてきた。

●●活動の輪も広がる●●

 

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紫色のかれんな花を咲かせるエヒメアヤメ(久保泉公民館提供)

 今春も2月26日と3月12日に、まつりに向けて地域住民による一斉活動が行われた。集まったのは約50人。通路のロープ張り、遊歩道や車道の清掃、階段の補修、草刈りなどの作業を分担した。3月開催時には町内の企業に勤務するベトナム出身の従業員10人も参加。住民とともに汗を流し、国際交流の場にもなった。
 2012年度には佐賀市景観賞の特別表彰を受け、「みどりの愛護」功労者国土交通大臣表彰を受けるなど、社会的にも評価が高まり、息の長い活動にしていくための下地づくりはさらに進んでいる。
 宮原さんは「エヒメアヤメが増えたこともうれしいが、仲間が増えたことの方がありがたい」と地域一体となった取り組みを評価する。子や孫の代へ-。31日に開幕する「えひめあやめまつり」を控え、町民総出で多くの来場者を待ちわびる。

●●●●プレイバック●●●●

●●●環境整備し「宝」守る●●●

 

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 エヒメアヤメの保全活動を紹介したのは2013年3月31日付で、19回目の「えひめあやめまつり」(4月5~14日)直前だった。保存会メンバーを中心に地域住民40人が会場周辺の清掃活動に精を出し、県内外から訪れる愛好家をもてなす準備を整えていた。
 当時から準備は2月の寒い時期から進めており、「主役」のエヒメアヤメが誇らしげに咲く様子に住民一同目を細めている。場所は県道から入ったさらに奥の里山。看板がないとたどりつくのが難しい場所。それだけに自生地はゆったりとした風景が広がり、住民が一致団結して、地域の宝を守っている苦労のあとがうかがえる。

 

【MEMO】 31日から「えひめあやめまつり」

 第23回えひめあやめまつりは、31日から4月9日まで、佐賀市久保泉町川久保の帯隈山山麓エヒメアヤメ自生地で開かれる。開場時間は午前9時半~午後4時半。普段は立ち入ることができないエリアで、エヒメアヤメを十分堪能できる。イベントも盛りだくさん。スケッチ大会(1日)、農産物販売(1、2、8、9日)、ウオーキング大会(4日)を開催する。自生地は県運転免許センターから県道31号を東へ約1.5キロ地点から北に向かう。のぼり旗を目印に約1キロ。または佐賀市営バス「伊賀屋・清友病院線」臨時バス停「えひめあやめ入口」で下車し、のぼり旗を目印に東へ約1キロ。問い合わせは久保泉公民館、電話0952(98)0001へ。

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