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重粒子線がん治療・前立腺治療の体験リポート【上】

 重粒子線がん治療への県民の関心が高まりをみせている。この分野では世界的なパイオニアである放射線医学総合研究所(放医研、千葉市)の治療がことしで15年の実績を積み上げたのに加え、地元鳥栖市で最先端の「九州国際重粒子がん治療センター」の整備が民間主導で進むなどの背景がある。患者への身体的な負担が少なく、高い治療実績が認められる重粒子線がん治療とはどんなものか、ことし9月、放医研の重粒子医科学センター病院で治療を体験した患者の立場から実態をリポートする。(佐賀新聞社編集主幹・寺崎宗俊)

照射 痛み、熱さなし―全身を固定、1分少々

 まずは治療報告の前提として、筆者(61)の入院治療までの経緯を書いておきたい。6年前から血液中のPSAという前立腺がん特有の物質が正常値を超えて上昇、上下しながらも最近では2倍の数値に達した。3月、手術で前立腺組織の一部を採取する「針生検」を行い組織病理検査の結果、がんが見つかった。

●初期レベル

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 がんのレベルは初期。前立腺皮膜外への転移はなく、悪性度もハイレベルではなかった。治療としては通常、前立腺の摘出手術、ホルモン療法、放射線源(ヨウ素)のカプセルを患部に直接埋め込む小線源治療、放射線療法のいずれか、あるいはこれらを組み合わせて実施される。前立腺がんは発育がゆっくりであり、「じっくり考えればいい」というのが担当医の話だったが、決断を迫られる格好となった。

 告知から約3カ月、専門家や何人かの治療体験者から情報収集した。痛みを伴わず治療効果が高く、しかも副作用が少ない重粒子線(炭素線)治療へ気持ちは動いていたが、千葉市での1カ月の入院生活や仕事のこと、先進医療を受けるための高額な自己負担、高齢の両親のケア問題などクリアすべきハードルは少なくなかった。

 結局、6月中旬に医科学センター病院を受診、7月に治療受け入れが決定したものの、8月は点検のためシンクロトロン(加速器)がストップするため、入院は9月上旬となった。告知から6カ月後となる。

 同病院での治療が可能かどうかについては、がんの部位やステージ、転移の有無など病状にいくつかの条件があるが、まずは同病院に相談し、担当医の紹介状、各種検査の画像、数値データや採取組織のプレパラートを準備して受診するとスムーズに運ぶ。

●照射は16回

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 さて、筆者の治療は副作用などの説明を含む丁寧なインフォームドコンセントを経て、重粒子線を腰骨の左右と前面から都合16回照射することになるが、入院前の準備として固定具の作成がある。これは病巣に対して重粒子線を正確に照射するためのもので、それぞれの体にフィットしたプラスチックカバーを用意しなければならない。

 筆者の場合、頭部、両足、腰部の固定具が作られ、これをセットした上で治療リハーサルがあった。CTやエックス線画像などから照射位置を正確に割り出し、周辺臓器との境界、照射範囲、線量など細かい条件が決められる。前立腺の場合、膀胱(ぼうこう)と直腸への悪影響を極力少なくすることが重要で、前面照射の際には膀胱へ─定量の生理食塩水が注入される。

 治療はまな板の上のコイ同然。治療台に横たわり、固定具と腕ベルトで動きを封じられ、じっと照射を待つ。照射そのものは1分少々だが、呼び出しから、排尿、待機、照射の位置決めなどを含め1時間程度だ。

 初めての照射は緊張もあり神経を研ぎ澄ます感じだが、痛みや熱さ、違和感は全くない。「始めます」の声かけがあった後も、何ら肉体的な変化や反応は感じない。(次回は10日付に掲載)

メモ
 重粒子線がん治療器 放射線医学総合研究所が世界で初めて1993年に開発した医療用重粒子加速器(HIMAC)。炭素イオンを光速の60~80%まで加速して患部に照射する。細胞破壊力が強い半面、線量集中性が高いことから周辺の正常組織への影響が少ないのが特徴で、早期の肺がん、肝臓がん、前立腺がんなどの治療に大きな成果を収めている。この15年間で放医研の治療総数は5千例に達した。重粒子医科学センター病院の電話相談は043(284)8852。

【写真上】15年間で5千例のがん治療実績を上げ、世界の注目を集める重粒子線医科学センター病院=千葉市稲毛区

【写真下】重粒子線による治療。患者の位置決めが終わると、左の照射口から患部に向けて照射が始まる

2009年11月03日更新
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