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重粒子線がん治療・前立腺治療の体験リポート【下】

鳥栖に25年春開設予定 九州で初、関係者注目

 重粒子線には体の深部にいくほどがん細胞を攻撃する力が強く、正常細胞を傷つけることや、副作用が少ないという特徴がある。ダメージを極力少なくし、確実にがん細胞を根治したいと願う患者にとって魅力的な治療法の一つといえる。

 筆者が入院した放射線医学総合研究所(放医研)の重粒子医科学センター病院(千葉市)には3つの治療室があり、垂直、水平、両方同時と、それぞれビームの照射方向が違っている。入院患者は病棟と地下通路でつながる重粒子線棟へ行き治療を受けるが、通院も多く入院患者と合わせて、一つの治療室に1日25人前後が割り振られる。

 前回に書いたが、治療は何ら肉体的な苦痛はない。治療室は工場に似て殺風景そのものだが、緊張をほぐすためヒーリングのBGMが流れる。治療に慣れると心地よい睡魔に誘われる。体内で重粒子線ががん細胞を激しく叩(たた)いていることなど考えも及ばない。

●通院で十分

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 治療に際して患者に求められるのは排尿と排便の励行だけだ。いったん治療台から解放されれば散歩も外出も比較的自由だが、治療の順番が来るまでは病院に禁足状態。順番が遅く設定された場合は長い待機に耐えるのが辛(つら)いと言えば辛い。

 通院で十分なのだ。マイカー通院の患者を見かけると「近くに施設があれば」とため息が出る。関東圏の患者が一時帰宅する週末、病棟は静まり返る。新潟、愛知、福岡などの遠来組が無聊(ぶりょう)を慰め合うことになる。

 ここで経費面にふれておく。重粒子線治療は保険診療の適用外。照射の技術料314万円は全額患者負担で1回目の照射後5日以内に一括払いとなっている。その他の診察、検査、投薬、入院は保険診療の対象だが、1カ月入院した筆者の場合、ほかに数十万円が必要だった。民間のがん保険などでカバーできないとなると、かなりの負担だが、保険に「先進医療」の特約があれば、ほとんど問題はない。

 重粒子線がん治療の保険適用承認を求める声は高いが、課題も少なくない。治療の有効性や安全性については治療実績からもクリアしたといってもよい。だが、普及性や効率性などその他の条件を加えた総合判断となると厳しさがある。

●平等な機会

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 「平等に重粒子線治療の機会が与えられている環境かどうか、端的には重粒子線治療施設の全国展開がひとつの大きなポイント」と語るのは重粒子医科学センターの鎌田正センター長。中央社会保険医療協議会の承認に向けた情報発信の先頭に立つ一人だが、鎌田センター長は一方で「共有地の悲劇」も口にする。

 「共有地に(重粒子線という)新たな牛を放つとなると、牧草の多くを食ってしまう」という見方も根強いとか。保険財源問題に加えて、適用範囲をめぐる内部の綱引きもありそう。政権交代による風の吹き方次第というニュアンスもある。

 そんな中、関係者が注目するのが鳥栖市で計画が進む九州国際重粒子線がん治療センターだ。民間主導・大学連携などユニークな発想で25年春開設を目指しており、来春開設の群馬大重粒子線治療センターとともに治療機会を拡大し、保険適用のハードルを低くするものと期待されている。

 2施設はシンクロトロン(加速器)の規模が放医研の約3分の一という改良普及型を使い、新たな照射法を盛り込んだ装置で、鳥栖は九州では初めての重粒子線治療施設として注目度が高い。

 さて、退院から約一月、仕事も家庭もほぼ通常ペースに戻っている。副作用といえば頻尿ぐらいなものだが、これも数カ月のことらしい。重粒子線はがんには強く患者には優しい先進治療というのが素直な実感であり、いつでも、どこでも、だれにでも治療の機会を、という思いは日増しに強まっている。

メモ
 九州国際重粒子線がん治療センター 鳥栖市の九州新幹線「新鳥栖駅」前に建設、平成25年春の開設を目指す。九州はもちろん東アジアも視野に入れている。施設を建設・管理するための特別目的会社(SPC)「九州重粒子線施設管理」は今年4月に設立された。総事業費は150億円。県の補助金(20億円)のほか、民間企業からの出資や寄付でまかなう。運営は医療運営法人「佐賀国際重粒子線がん治療財団」(仮称)で、年明けにも設立される。治療装置は2室4門が計画されており、うち1室はスキャニングなど次世代型照射を見込んでいる。

【図】年々増加する重粒子線がん治療の登録患者数=放医研資料

【写真】重粒子線(炭素線)がん治療普及への期待を語る鎌田正・放医研重粒子医科学センター長

2009年11月10日更新
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