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ネット上でも賛否の論議 食べログ「削除要請」訴訟その後

 佐賀市の飲食店がインターネットの口コミグルメサイト「食べログ」に、「自分の店の情報を載せないで」と削除を求めて佐賀地裁に提訴した問題。本紙報道をきっかけにネットの掲示板でも話題になり、賛否の書き込みが続いた。ネット時代の新たなトラブルとして一石を投じた波紋の“その後”を追った。

 

 提訴を伝えた佐賀新聞のニュースサイトの記事には、掲載から1週間で3万5972件のアクセスがあった。2位の記事は4千件で10倍のヒットだ。ネット上の掲示板でも話題になり「ほかのグルメサイトは削除に応じている。拒否する意味が分からない」と、飲食店の主張を“擁護”する書き込みが相次ぎ、「投稿日時は公開しており問題ない」などの意見を上回っていた。

 

 書かれる側の飲食店はどう思っているのか話を聞いた。佐賀市の居酒屋の経営者は「個人のブログならいいが、影響力のあるサイトに昔の情報を残されたら迷惑。掲載されない権利だってあるはず」と話す。レストランバー経営者も、事前連絡がなく掲載されることに「掲載されたことを知らないと、クレームのフォローができない。問題を放置する店と思われれば営業に支障を来す」と危惧(きぐ)した。

 

 利用者はどうか。「感覚的には友人のお薦めに一番近いうえ、利害関係のない一般の声だから信用できる」と佐賀市の50代女性。ネットでの買い物も、商品説明より先客のレビュー(講評)を判断材料にするし、辛口コメントがあることが信頼性を増すという。

 

 ネットでの口コミの掲載や投稿について、法的に問題はあるのか。北海道大学大学院法学研究科の町村泰貴教授(民事訴訟、サイバー法)は「無断掲載で不当な収入を得れば、サイト運営者には不正競争や商標権侵害が問われる。うそなどのあり得ない書き込みは名誉棄損の罪が、投稿者にも発生する」と解説する。今回のケースについては「判例がないだけに何とも言えないが、古い情報を更新しないことで違法性までは問えなのでは」とみる。

 

 現段階で違法性は薄いとはいえ、対応を取るべきという指摘は専門家に多い。森井昌克神戸大大学院教授(情報通信工学)は「(今回の訴えのように)前の情報を見た客から苦情が出るなど営業に支障が出る恐れはある。サイト運営者は古い情報は削除するなど対処は必要」と提起する。

 

 ネット社会は、普及速度に比べてルールやモラルが追いつかない状況が続いている。口コミサイトは店選びに役立ち、飲食店にとっても集客ツールにもなる。ただ、使い方や運営を誤れば、風評被害や実害を生む恐れも。ビジネスとして展開する管理者には、厳格な運営基準が求められよう。規制は誰も望んでいないはずだ。

 

 【食べログ訴訟】佐賀市の飲食店経営者が9月、利用客から3月に投稿された内容が現在と違い、客に誤解を与えると4度、削除を要請したが拒否されたなどとして提訴。食べログを運営するカカクコムは「利用者は最新の情報ではないことを理解しており、内容も違法性はない」と全面的に争っている。

2010年10月04日更新
 波紋を広げている「食べログ訴訟」。ネット掲示板でも賛否の書きこみが続いている(コラージュ)

 波紋を広げている「食べログ訴訟」。ネット掲示板でも賛否の書きこみが続いている(コラージュ)


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