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視線入力システム開発 新井さん大臣表彰

 優れた科学技術分野の開発や研究事業に贈る文部科学大臣表彰に、パソコン画面を見つめるだけで文字入力できる視線入力システムを開発した佐賀大学の新井康平特任教授(65)が選ばれた。同システムは地元の企業体が商品化して実用化が進み、重度の肢体不自由やALS(筋萎縮性側索硬化症)などで自らの意思を伝えるのが困難な人たちに光をもたらしている。

 大臣表彰は、将来性があり、独創性に優れた画期的な研究開発を行った研究者が対象。各大学や研究機関から推薦を受け、幅広い分野の研究者でつくる審査委員会が審査する。今年は全国で43件、佐賀大学からは初の受賞となった。

 視線入力システムは、小型カメラで目の動きを捉え、見つめたキーボード文字や定型文の会話アイコンを音声で読み上げることで意思を伝達する仕組み。電動車いすの操作や摂食支援システムへの応用研究、メガネ型で身につけられるウェアラブル端末「アライグラス」の改良も進めている。

 開発のきっかけは理工学部知能システム学科長だった2001年。学部に肢体不自由の学生が入学することになり、学内のバリアフリー化に取り組み、最後に残った問題が講義ノートだった。「母親が代理でノートを取っていたが、本人が書かないと要点が分からなくなる」。ALS患者が入院する長崎県の病院に通って研究を続け、06年に完成させた。

 09年には県内のICT(情報通信技術)企業10社でつくる県先進IT技術有限責任事業組合(佐賀LLP)と共同で製品化に着手。誤入力が起きない工夫や日常よく使う会話を定型文のアイコン化し、使いやすさを追求した。普及のために価格を大手の類似システムより大幅に抑え、10万円前後に収めた。

 新井氏はJAXA(宇宙航空研究開発機構)を経て1990年、佐賀大に着任。今年3月に退職、4月から特任教授に就いた。「これまで商工業を中心に発達してきたICTを、健康や医療福祉、環境などの分野でもっと活用させたい。賞を励みに世のため人のための研究を続けていく」と話した。

2014年05月07日更新
新井康平特任教授が開発した視線入力システム。メガネ型のウェアラブル端末に取り付けたカメラが目の動きを捉え、パソコン画面に映し出された文字を見た通りに入力する(新井特任教授提供)

新井康平特任教授が開発した視線入力システム。メガネ型のウェアラブル端末に取り付けたカメラが目の動きを捉え、パソコン画面に映し出された文字を見た通りに入力する(新井特任教授提供)

新井康平
 特任教授

新井康平  特任教授


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