topic.jpg
トップ |関連記事 |特集記事
UDは病院の生命線(12年5月27日)

vol.1 患者に優しく

 「患者に優しい」という理念を掲げる病院が増えている。その狙いは、治療優先の「冷たい」イメージを払しょくし、患者の不安や緊張をほぐすこと。病院を訪れる人は高齢者や子ども、障害を持つ人などさまざま。このため、誰にとっても優しい病院を実現するため、ハード、ソフト両面からユニバーサルデザイン(UD)の視点が生かされている。

現場の理念共有 大切に

 「大きな病院では、どこに行けばいいのか分からず不安になる。声を掛けて案内してもらったので、本当に助かった」。佐賀市鍋島の佐賀大学医学部附属病院を受診に訪れた女性(72)は、病院の案内係の助けを借りながら初診の手続きに入った。

ソフト面の充実も重要

写真
 大規模病院の課題として挙げられているのは、患者が病院を訪れて診療科にたどりつくまでの動線をいかに短くするか。外来駐車場から受付・待合ロビー、診療科までの廊下やエレベーター…。同病院の場合、受診の自動受付機や自動精算機を導入することで、待ち時間の短縮を図った。その一方で、緊張して訪れる初診の患者や機械の操作が苦手な高齢者らが戸惑ってしまうケースも見受けられたという。
 案内係はこうしたデメリットを解消する役目を担う。同病院では一般外来を受け付ける午前中、玄関や待合ロビーで職員やボランティアが案内係として応対。戸惑った様子の人を見かけると、さりげなく声を掛け、手続きの方法などを教えている。
 案内係の配置も根本は「すべての人に優しい」というUDの理念から。佐賀県UD推進委員で同大学医学部附属地域医療科学教育研究センターの松尾清美准教授は、「UDといえば、段差解消やエレベーターの設置などハード面ばかりに目が行きがちだが、病院の場合は案内係配置などソフト面の取り組みが欠かせない」と患者にやさしい病院のポイントを話す。
 同病院は現在、UDを含めた大規模改修工事を実施している。病院にとってUDは生命線。松尾准教授は「建屋のUD化は当然のこと、われわれ病院で働く者みんながUDの理念を共有することが大切だ」と話し、入院患者用のリクライニング式ベッドの背圧問題を例に学内勉強会を提案している。

看護師らの負担も軽減

写真
 病院では診察だけでなく、採血やレントゲン撮影など多くの検査が行われるが、そこで重要になるのが患者の短時間での移動。患者の分かりやすい誘導の実践例として挙げられるのが、佐賀市水ケ江の佐賀県立病院好生館で実施されている「誘導線」だ。
 「検査科・採血センター」は赤、「放射線科」は緑など異なる色のテープを床に張り、行き先までの経路を指示。四国の病院を参考に20年以上前から導入し、04年1月、病院機能評価を受けるのを機に本格的に取り組んだ。
 「患者さんにとって分かりやすくなったのはもちろん、指示誘導する側の看護師にも大きなメリットがあった」と同病院。それまで、初診の患者などが病院内で迷うことが多かったが、行き先を口頭だけで理解してもらうのはたいへん。看護師らはその都度、かなりの時間を費やすこともあった。誘導線というUDの導入は患者側にとってメリットがあるだけでなく、医師や看護師の負担を減らすことにもつながった。
 同病院は来春、佐賀市嘉瀬町に全面移転オープン予定。8階建ての新病院では床の誘導線の採用が難しいため、代わりに壁面に設置する誘導板の文字や色調を工夫して分かりやすさを追求しようと検討を重ねている。
医療現場でまず求められるのは安全・安心。リスクマネジメントの軽減にも結びつくUDの視点はますます重要になってくる。

社会貢献事業としてUD県民運動に助成

 全日本社会貢献団体機構(堀田力会長)が行う「全日本社会貢献団体機構助成事業」の2012年度対象事業に県民運動「佐賀から日本のやさしさを~広げよう、ユニバーサルデザイン」が決まった。
 同助成事業は全日本社会貢献団体機構が05年度から実施。学術・文化の振興、命を大切にする研究・活動、子どもの健全育成に関する活動を対象としている。同県民運動は、佐賀県内でのユニバーサルデザインの取り組みを推進することで、誰もが暮らしやすい社会の実現を模索。同機構から、有益な社会貢献事業として認められた。
 7月19日に東京都内で助成金贈呈式が行われる。

【関連記事】
  安全な歩道ルートUDマップに反映(12年5月14日)
  木材チップで「足に優しい」歩道整備(12年5月12日)
  パーキングパーミット制度 26府県に拡大(12年4月18日)
  県警HPリニューアル(12年4月6日)
  嬉野温泉街、県内初「足蒸し湯」(12年4月5日)
  県ユニバーサルデザイン推奨に「ノッテコン」など(12年3月28日)
  県総合運動場リニューアル(12年3月27日)
  UD商品 触れて理解(12年3月21日)
  UD気軽に触れよう あすフェスタ(12年3月19日)
  通帳に「耳マーク」(12年3月13日)
佐賀新聞社

佐賀新聞社から

会社概要

サービスのご案内

社員採用のご案内

ご購読のご案内

佐賀新聞販売店検索

広告掲載に関するご案内

主催イベント

佐賀善意銀行

お問い合わせ

Copyright(c)Saga Shimbun Co.,Ltd