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映像クリエーター 藤井啓輔さん (14年3月2日掲載)
藤井啓輔さん 

 

 「若者の感覚生かしまちづくり」

 東京から移住し新たな挑戦

 一人一人のいろんな夢を応援しようと、佐賀新聞社が8月の創刊130周年に向けて展開中の「さがの未来(あした)へ夢コラボ」。今回、インタビューしたのは多久市の映像クリエーター藤井啓輔さん(30)。昨年、東京から移り住み、JR多久駅前広場のにぎわい創出イベントで、立体物に映像を投影する「プロジェクションマッピング」を実演するなど、自身の技術でまちづくりにも貢献しています。

 

■東京での生活に区切りをつけ、移住先に選んだのが多久市だった。
 田舎の豊かな暮らしにあこがれがあった。結婚を意識していた時期で、将来は田舎で子育てしたいという思いもあった。自然豊かな方がクリエーティブな活動に合っているように思えた。東京の友達が次々に田舎暮らしを始めたことにも刺激を受けた。
 多久は母方の実家で、祖母の家がちょうど空いていた。小さいころから何度も里帰りしていたし、多久山笠など楽しい思い出もあった。さまざまなチャレンジの場として、多久は魅力的なフィールドだった。


■クリエーターとして東京と、多久や佐賀で表現することの違いは。
 東京は新しいものに触れる機会が多く、みんな目が肥えていてレベルが高い。地方もインターネットの普及などで、若い世代は東京と変わらない目を持っている。違いは「体験しているかどうか」だけ。こっちに来て、「知っているけど体験していない」ことを紹介する役割を求められているとすごく感じる。
 本業の建築CG(コンピューターグラフィックス)で言えば、東京だといろんな事務所で3Dを取り入れているが、九州ではまだ「予算が少ない」「そこまでいらない」と反応は鈍い。求められる技術レベルが違う中で、東京クオリティーの新しい技術をどう活用してもらうか。変にクオリティーダウンしないよう、手法を変えて提示していきたい。


■2月初めにはJR多久駅前のイベントでプロジェクションマッピングを成功させた。
 もともと仲間同士で温めていたアイデアで、今回たまたま主催者から声がかかった。大きな建物に投影するのではなく、書道とのコラボを試みて、いろんな可能性を感じた。細かいミスもあったが、「もっと見たかった」など好評で、やって良かったと思った。
 これからのプロジェクションマッピングの活用には、広告と舞台装置という二つの大きな方向性がある。大きな建物に投影するスタイルはもう古い。広告なら皿や陶器などの商品に投影することが考えられるし、舞台演出の幅も広がっていく。


■今後、佐賀でどんな仕事の展開を。
 建築CGの分野では、地元建築家と連携して3D活用の提案をしていきたい。また、UターンやIターンの人たちが過疎化した町に面白みを感じられるようなリノベーションや古民家再生にも携わりたい。基本的に古いものや自然な感じのマテリアルが好きで、直して使うリペアの文化に興味がある。今あるものを若い人の感覚で生まれ変わらせ、新しい町並みを生み出すお手伝いができればと思っている。


■佐賀にもいろんな創作活動に取り組む人がいる。彼らにメッセージを。
 こっちに来てさまざまなクリエーターと知り合えた。いいものを吸収して、作品に生かそうとしている彼らとの接点を探し、僕の持っている技術を生かしたい。協力して面白いものが生み出せればいい。今はそれが一番の目標ですね

 

=略歴=
 ふじい・けいすけ 1983年生まれ、埼玉県所沢市出身。埼玉県立所沢中央高―東京ビジュアルアーツ専門学校音響学科卒。携帯電話の着信メロディー制作会社、建築CGパース制作会社勤務を経て、2013年に多久市に移住。建築CG、広告、音楽制作などを請け負う「putup」を立ち上げた。